英語いくじカウンセリングと母親支援

「英語いくじ」という言葉に惹かれながらも,自分の具体的な生活の中で,子どもへの英語環境作りと自分の英語学習をどうやって平行して進めていくのか迷っている人が多いようだ。このところ,そうした迷いを整理して方向性を定めたい方に対して「英語いくじ」に関するカウンセリングを時々お引き受けしている。

カウンセリングといっても,本格的な心理相談ではなくて,まずはそれぞれに現状を把握し,自分の希望・願望を明らかにしていって,自分の現状と突き合わせる。それを通じて,今後の方針を立てていくためのお手伝いをする作業だ。それは,子どものためでもあるし,親(実際にはほとんどがママ)自身のためでもある。個別のカウンセリングを受けていないママたちに対しても,わたしは同じ気持ちで接している。

「自分のため」と「子どものため」の境界線が見えなくなっている母親は少なくない。だから一度,どこかでその区別をつけ,すっきりさせておくことは,“英語いくじ”だけではなく,子どもとの関係全般を見直すためにも悪いことではないように思う。

レイセンターのスーパーバイザーの資格を取ったことや,女性対象のカウンセリングの勉強をしてきたことが,こんなところで役立つとは思わなかった。人生,何事も「無駄なこと」なんてないものだなぁ,とまたしてもつくづく思う。

わたしは自分の教室を「子どもの英会話塾」だとは思っていないし,ただの英会話塾で終わらせたいとも思わない。もちろん,「子ども」と一括りにしても,未就学児と小学生では話が違う。今,うちのクラスに来ている某君みたいに,小学校で英語を学ぶようになって,「英語がおもしろい。もっと知りたい」と言って来るようになった子に対しては,英会話塾あるいは英語塾の機能を果たしていると思う。だけど小さい子……たとえば,うちのスクールで最年少の,先日4歳になった子に対しては,「英会話」を教えているというよりも,ママに「英語いくじ」を教えているという意識のほうがはるかに強い。

だから,平日は仕事で忙しくしているそのママが,自分自身,英語を学びたくなって英語の通信教育を受け始めたと知って,とても嬉しかった。

かつてわたしは,自分もゼロ歳児を抱えながら「子育て支援」の活動に飛び込んだ。わたしはかなり遅く子どもを生んでいるので,そうやって関わるようになった多くの母親たちの中には,わたし自身の娘であってもおかしくない年齢のママたちもいた。そういうママたちに対して,どうもわたしは,娘とは言わないまでも,妹のような気持ちになってしまうようだ。

いろんな形で“母親”たる女性にのしかかってくるプレッシャーを跳ね返し,彼女たち自身が生き生きと生活していけることを,わたしは願ってやまない。時々,「基本的にわたしは女の味方」だとわたしは言うけれど,けっこう本気でそう言っているところがある。だって,娘も生んでしまったしね。女が少しでも生きやすい社会になってほしいとしみじみ思う。