大人クラスのサブテキスト

大人対象の生活英語入門セミナーのほうで、日常英語を教えるのにいい本はないかと、いろいろ探していた。各社のピクチャーディクショナリーなども随分検討したけれど、ようやく「いけそう!」と思える本に出会った。

Lawrence J. Zwier著 English for Everyday Activities--A Picture Process Dictionary(IBC Publishing)

日常的なできごとのプロセスを絵で示し、ひとつひとつの絵に関して英語のキャプションで説明していくという形式で、各ユニットが作られている。

動作を英語で示している英絵辞典は他にも山ほどあって、実際、OxfordやLongmanなどの英絵事典も使ってきたのだけど、たいていのものは「プロセス」がないんです。それに対して、この本の特徴は一つの動作に対して一つの動詞(動詞句)ではなく、プロセスが文章(複数の文)で表現されているところ。たとえば、Preparing Cold Cerealの項では、お椀にシリアルを入れる絵、お椀に入れたシリアルに牛乳を注ぐ絵、牛乳をかけたシリアルに砂糖を振りかける絵の3つについて、それぞれ次のようなキャプションがついている。

Pam pours some cereal from the box into her bowl.

She pours in some milk...

... and sprinkles some sugar on her cereal.

これだけ見るとなあんてことはないんですが、挿絵に目を向けると、the boxとあるのは牛乳パックをちょい太めにしたようなシリアルの箱。そこで、ああ、アメリカのスーパーマーケットで見た見た、こういうの……日本のシリアルの箱って、こんな形のはないよね……なんて思う。スプーンでお砂糖を振りかけるあたりも、シュガーコートされたシリアルが常識の日本とはちょい話が違いそうだな……と分かる。

このように、各ページにささやかな発見がいっぱいあって、“文化の違い”のお勉強にもなってしまうところが、この本のおもしろさだと思う。各セクションのKey Vocabruaryがnounやverbやadjectiveごとにまとめてあり、分かりにくい表現については英語で説明しているところなんかもいい。絵もシンプルで分かりやすく、わたしは好きです。

惜しむらくは、誤植やレイアウトミスがパラパラと見られるところ。改訂しないのかなぁ……以前は音声テープやアクティビティブックも売っていたようなのですが、今はどうも見あたらない。

同じ本の日本語版も出ているようですが、絵が助けてくれるので、やっぱりAll Englishの版を使いたいものです。(レッスンに使う分には、教師が説明すればいいので、日本語訳は不要でしょうけど。)同じ時間を使うなら、英語に触れる時間を少しでも増やす……というのが、多読の原則でもありますし。