チャレンジ!

昨年度の終わり、体育苦手なうちの娘が、市の「陸上クラブ」に入ると言い出した。「え? そういうのって、足が速くて選手になるような子が入るんじゃないの?」と言ったら、「でも、先生が、少しでも足が速くなりたければ入りなさいと言ってたよ。わたし、来年はかけっこで絶対に6位とか5位とかはいやだもん」とのたまわる。

去年の担任は体育専攻の先生。運動音痴の娘をよく指導してくださった。おかげでプールの水に顔をつけられるようになったし、縄跳びも嬉々としてやるようになった。でも、陸上クラブ??? いくらなんでも……。

そりゃあ、少しでも足が速くなれるなら、それに越したことはないけれど、練習は隔週土曜の午前だという。それじゃあ、ジュニア・オペラ・スクールとまさにバッティングする可能性が大。そもそも絶対に参加しなければならないという初回のオリエンテーションの日からして、オペラの練習と重なっている。

「どうするの?」と聞いたら、「オペラを休んで陸上に行く」「チャレンジしたい!」と言う。そこまでやりたいなら、まあいいか……と思って、申込書を出した。

ところがその後、小一の時から参加している「こども映画教室」も、同じ日に重なっていることが判明。「どうする?」と迫ったら、しばらく悩んでいたけれど、最終的に「映画教室に行く」……と決断。「それじゃ、陸上に入れないよ」と言ったけど、「いい!」ということで、結局、オペラを休んで映画教室に。二日間のプログラムで、自分たちで脚本を作り、それを演じて撮影し、ショート・フィルム作りを行った。できばえは……まあ、さておいて、「作った!」という体験をさせていただいたという感じでしょうか。当人は「監督」と「主人公の女探偵役」に「チャレンジ!」した……とご満悦でしたが。

ともかくも、そうやって何でも「チャレンジ!」したがる我が娘。今日は子どもの箏曲体験教室と、合唱体験講座のちらしを学校でもらってきた。「両方出る!」とおっしゃる。一方は開講式の日が空いていたけど、もう一方は例によってオペラとバッティング。「無理だよ」と言ったら、しばらくチラシを眺めていて、おもむろに笑顔になり叫んだ。「お母さん、これ、土曜の午後3時からだよ!」……つまり、自分たちのオペラの練習は(たいてい)午前なので(3時からは大人練習なので)バッティングしない……と主張しているのだ。「え〜っ! 両方出たら、スケジュールきついよ!」と言ったら、「いいの! 何でもチャレンジ! チャレンジ!」と言う。

う〜ん、まあ、いいけど……。

自分ばかりか、わたしにも「チャレンジ」を強制するので困る。

先日、ジュニアオペラの大人合唱で、「親」役のオーディションをするというアナウンスがあった。自分の歌に全然自信のないわたしは、オーディションにアプライせずに帰ってきた。娘に訊かれた。「ママ、オーディション出るんでしょ?」「出ないよ、ママは声量がないし、いくら短いったってソロで歌うなんて無理だよ……」「最初から諦めちゃダメだよ、ママ! あたし、去年の音楽集会で、だめかなと思ったけど、ピアノの伴奏のオーディション、やったよ! 選ばれなかったけど、チャレンジして良かったよ! ママもがんばらなくちゃ!!! がんばれ! ママ!!!」

……そこまで言われたら、教育的配慮からも、オーディションを受けないわけにはいかないよなぁ……とほほ。(結果は聞かないでね……。)

それにしてもパワフルな子だ……。「5分」を無駄にせず、きっちり遊び倒す……というところもすごい……。

このエネルギーを勉強に向けてくれたらさぞかし……と思うのだけど、そっちはいつもぐずぐずして、さっぱりやってくれない。まあ無気力であるよりは、マシかなぁ……と思ったりするけれど。