ハクナマタタ

じつは今日、ショッキングなことが2つほどあった。このところ何をやっても逆風続きのわたしだけど、今度こそ……と起死回生を狙っていた計画が、午前中のある電話一本で、音を立てて崩れてしまった。しんどい思いを抱えて、ランチで美味しいものでも食べようとしたときに、友達がつきあってくれて、どうにか立ち直った……と思った矢先の夕方、今度は、信じてくれている……と思っていた人が離れていってしまった。愕然。

泣きたい気分で、娘にも少し八つ当たりをし、鬱々とした気分のまま、子ども劇場主催の「アフリカン・ドリーム」の公演に出かけた。本当は小学校高学年向けのイベントなのだけど、娘も興味をもっていたし、わたし自身も観たかったので“乗り入れ”したのだ。*1

最初、のほうでセネガルのダンサーが一緒に踊ろうよとひたすら挑発しているのに、誰も「ノッて行かない」のを見たとき、泣けてきた……なんだか自分を見ているような気がしたのだ。

決して自分だけのためじゃない。ましてや儲けのためなんかじゃない。子どもたちのため、みんなのためにも良かれと思うことを、一所懸命にやっているのに、どうしても周囲とうまく波動が合わない。理解してもらえない。信頼してもらえない。失敗続き。自分が悪いのか、考え方がおかしいのか、それとも単に居場所が間違っているのか……どうすればいいのか、分からなくなる。しんどいのに、微笑んでいる自分がピエロに思えてくる。

そんな気分だったから。

それでも……今まで聞いたなかで、たぶん最高に美しく柔らかいタンザニア*2カリンガの音色を聞いているうちに、音楽に引きこまれていった。リズムとビートに、身体が反応しはじめた。踊った、歌った、響いた……心が、魂が。

アンコールの曲で、「ハクナマタタ」というスワヒリ語の歌が紹介された。Lion Kingの劇中歌にも、メロディーは違ったけれど、この言葉が出てくる。No problem!と会場では言っていたけど、わたしの語感ではNever mind!のイメージがある。くよくよするなよ、Never mind! ハクナマタタ! 嫌なことがあっても、辛くても、人生、どうにかなるさ、だからCheer up! 笑う門には福来たり。だからハクナマタタ……。

歌いながら、アフリカのどこかか、インドネシアか、あるいは国内だったら沖縄にでも……移住したくなった。見果てぬ夢。

だけど、人は現実に生きている。

ところで今日の会場では、スワヒリ語のこんにちは(ジャンボ!)と、ありがとう(アサンテ)も紹介された。そんな言葉に聞き覚えがあるのは、かつてヒッポ・ファミリークラブに入っていたからに他ならない。それに気づいて、ああ、そんな時代もあったのだなぁ……と、懐かしくなってしまった。何しろ、娘が1歳前後の頃に通っていたのだから6年も前のことになる。久しぶりに多言語のCDを取り出して聞いてみようかな。一気にグローバル、コスモポリタンとはいかなくとも、少しは視野が広くならないかしらん。

*1:乗り入れというのは、本来、子ども劇場の会員が、本来の学年では対象外になっているイベントに追加料金を払って出ること。

*2:記憶違いでなければ