9月からのレッスンの準備

新しい教材を導入するために、このところシラバスや単語リスト、指導書などを見てレッスン計画を立てている。ここにきて、ようやくカリキュラムの仕組みが見渡せるようになってきて、これまで疑問を抱いてきた先達の先生方のやりかたに納得がいったり、自分の(自分自身の英語学習歴や、娘を英語“いくじ”してきた経験を通じた)ユニークな見方に気づかされたりしている。

我が家の場合、未就学児期から英語を自然学習させようとあれこれ工夫してきて、小学生になってからようやくシステマティックに“教える”ことを開始したわけだけど、結果的に娘は、いわゆる“英語耳”を達成できたと思うし、英語大好きな子にも育った。昨日もORT*1を読み聞かせるパパに「もっと勉強してね」などと生意気なことを言っていたが、放っておいても子どもは発音の善し悪しを区別できるようになるヨ……と聞いていたとおりになっている。英語の歌をうたっても、わたしが聞き取れていなかった単語を娘は歌詞カードを見ることなしにきちんと歌い分けていたりして舌を巻く。第一段階はクリア、というところだ。

当然ながら、小学生になってから初めて英語を学ぶ子に対しては、娘に対するのとは違うアプローチを採らなければならない。だかそれは英語力の違いによるものとは一概には言えず、生徒の個性の違いによって異なるアプローチや教え方を工夫せざるをえないところも大きい。もっと長い目でみれば、学校教育の中ではなく少人数教育によって、小学生のうちに英語を学び始めた子どもたちという意味で、むしろ共通する部分も少なくない。

ところで、わたしの教え方によるのかもしれないけれど、レッスンは4人くらいいるといいなぁ……と感じている。それだけいれば、グループでの活動もできるし、ペアワークもできる。でも、とりあえずどのレッスンも2人以上確保できているので、今ある条件のなかでベストを尽くすまでだ。

悩みに悩んだ末に、ほとんど英語は初めてという小学3年生の秋からのクラスで、MATメソッドのコースブック*2一冊とScholasticsのSight Word Readersを使うことに決めた。ワークブックやスキルブックも検討したけれど、音や文字が入っていない段階でこれをやるのはどうしても“無理”が生じる。とはいえ、3年生の秋となるとそろそろ学習方法の臨界期なので、ゲームなどを通じてアルファベットの小文字を早めにマスターさせたい。アルファベットは英文リーディング&ライティングの基礎だから。

つい最近、従来の児童英語教育では欠けてきたReadingを通じた学習の重要性を述べている論文を見つけて我が意を得たりとほくそえんだ。文教大学のアレン玉江光江さんによる「小学生のアルファベット知識について」という論文。ネットで読めるので、興味のある方は検索してみてください。

要はアルファベットを教えることを支持する論文なのだけど、実際、子どもが興味を持ったときに教えるのが一番いいはずだ。わたしの若干の英語指導経験に照らしても、小学生は「文字」や「読むこと」への関心が強い。それもそのはず、小学生になったとたんに、自分の話すことができる「日本語」を文字や文章に表現できることを教わるのだから。従来の英会話教室ではそこをあまり重視してこなかったし、小学校英語教育の導入議論でも未だに会話中心で考えられている。

だけど小学生で英語を学ぶなら、早めに読み書きも教えるべきだとわたしは思う。なぜって? 子どもたちは知りたがっているから。その好奇心の芽を摘むことはない。そして、その好奇心を英語への興味と自信、多読につなげていきたい。従来の辞書を片手に苦労して読んでいくのではなく、多少の分からない部分があってもどんどん読んでいけるような読解力をつけることは、英語(そして英語を通じての情報収集)に欠かせないものだから。

ただそれを従来のようなドリル中心の教え込み型ではなく、どうすれば楽しく、効果的に、できれば“耳”のトレーニングも兼ねて教えていけるか……わたしはそこにこだわっていこうと思う。

*1:オックスフォード・リーディング・トゥリー

*2:おなじみLet's Goの第三版。家庭学習できるCD-ROM付