ゴスペル……再び?

今夜は、K-WISHというゴスペル・グループの練習を見学しに行ってきた。“いい顔”で歌うみんながとってもうらやましくて、歌いたくてたまらなくなった……。

ゴスペルとの因縁(?)は、けっこう長い。Mama, I Want to Singを日比谷公会堂に観にいったのが、最初の出合いだったと思う。1988年頃だったはずなので、もはや20年近く前? 何にしても、ウーピー・ゴールドバーグの天使のラブソング(Sister Act)が日本で流行るより何年も前ですね。ちょうどその頃、ニューヨークに行ったのですが、いろいろあって、当時、ハシリだったゴスペル・ツアーに参加しそこねて、そこでいったんゴスペルとの縁は切れたかのように思ったのですが……。

5年近く前、東京を離れて金沢に引っ越しするのが決まった頃のこと。比較的近い都下の某市でゴスペル・クワイア設立を目指してのゴスペル・ワークショップが行われるのを知って、引っ越してしまう自分はクワイアに入れないけど……と思いつつ参加。ラニー・ラッカーさんの指導を受ける。いいなぁ……と憧れが募る。歌い続けられたら……と思ったものの、引っ越しのために、またしてもゴスペルは遠い存在に……。

去年のこと。娘と「あしたのきみに」という音楽劇のグループに参加。娘だけ出演させるつもりが、親はバックコーラスで参加してねと言われた。このグループ、ゴスペルとは無縁なんだけど、たまたま昨年のエンディングの曲が、ちょいゴスペルっぽかった。その曲をコンサートでノリノリで歌ったときに、「あ〜あ、こういうのを歌いたいんだよなぁ!」と思う。その矢先に、市内で某ゴスペル・グループのワークショップが開かれることを知る。数回練習して、発表パフォーマンス……というそのワークショップに思い切って参加(なにしろ練習は夜なので……小学生の母としては辛いものがある)。結果的に、そのワークショップの発表パフォーマンスでは、腹の底から気持ちよく歌うことができた。歌い続けたい! クワイアに加入したい!……と思い詰めたものの、2回に1回の練習が車で30分以上かかる小松で夜間に行われると知って、その時はあっさり諦めた。

ところが、上記と同じグループのワークショップが今年の前半にもあった。発表パフォーマンスは福井だという。娘はチラシを見たとたん、「ママのお仕事!」「行かなくちゃ!」とおっしゃる。その言葉に励まされて参加。昨年、同じワークショップに出ていた人が何人も「メンバー加入」していたのが、うらやましかった。福井での発表パフォーマンスでも気持ちよく歌う。歌い続けたい……という思いが募る。金沢で活動しているゴスペル・グループを本気で探した。そのときすでに、K-WISHは10月の10周年ライヴのために、新入会員の受け入れをお休みしていた……。

そこでいったん、K-WISHのことは置いていたんです。

子どもも一緒に参加できそうな、他のグループの練習会にも行ってみた。娘は楽しんだようだったし、そこで覚えていた歌をしばらく口ずさんでいた。けれども、わたしには、どことなく違和感が残って、入会には至らなかった。

だ・け・ど……今夜のK-WISHの歌いかた、練習の仕方は、わたしにはピンと来た。入りたい……と思っている。けれども、果たしてそういったことに、限られている時間を捻出できるだろうか? わたしの“趣味”でしかないものの夜間の練習に、家族の不都合を押してまで、毎週出かけていけるものだろうか……???? 悩ましいけど、実行に移してしまいそうな自分がここにいる。

ゴスペルはGodspell――God Spell(神の言葉)を意味する。一方、Spellには呪文や魔術といった意味もある。わたしは魔法をかけられてしまったのだろうか? 別にゴスペル・ミュージックをいっぱい聞いてきたわけでもない。ゴスペルの系譜にあるジャズはけっこう聞いてきたけれど、ゴスペルは聞くものというよりも、自分が歌うものだという気がする。Act outであり、outputだという感覚がある。

この気持ちが、音楽讃美に発しているのか、それともスピリチュアリティへの憧憬なのか、あるいは人生の半ばを超えたと自覚しているわたしの何らかの気持ちの変化によるものなのか、自分でもよく分からない。

たぶん、成り行きに任せるしかないのだろう……自分の“意志”でごり押ししても、なるようにはならない。偶然は必然をもたらし、必然によって偶然がもたらされる……のかもしれない。違うのかもしれないけれども。

何にしても、K-WISHの10周年ライヴが楽しみであることは、嘘偽りない、今のわたしの真実だ。