図書館で借りた英語のジョージ本をそこらに転がしておいたら,娘が「あっ,同じ!」と拾い上げて見ている。読んでやろうかと言ったら,「ううん,いいの」……でも,手にしただけマシか。

だいたいにして,親が意識してやることは,見向きもしないのが子どもの常。今のところ,ジョージは失敗に終わっている。

逆に,思ってもいないところで食らいついてきたりする……。

このところ,「多聴多読マガジン」(創刊号)のCDを自分のために車でかけていた。すると,車に乗り込んでくるたびに,娘がトラック15番に合わせることに気が付いた。ORTのRobin Hoodのお話だ。ステージ4,まだ娘が自分で読むレベルの本ではない。そこで,家で本のほうを読みきかせようとしたのだけど,一度,さっと聞いただけで終わってしまった。

しばらくして。家のリビングに転がっていたこのマガジンを娘が一人でめくっていた。「読んであげようか?」と言ったけど,「いいの」と絵だけながめ終わるとページを閉じた。

数日後,また娘を車に乗せたとき,「あれ? ロビン・フッドは?」と言う。「あ,ごめん,家においてきた」と言うと,家に帰ってから聞きたいと言う。いいチャンスだと思って,本をめくりながら聞かせた。娘は満足し,それで終わり。

さらに1週間ほど立ってから,ベッド・タイム・ストーリーに「ロビン・フッドを読んで」と言い出した。読み聞かせてみると,とても反応がいい。「あたし知ってる! 次はああなる,こうなる……」と自分から言いたがる。「英語では?」と水を向けると,ほぼ正しく回答できた。

転がし作戦は,単品では難しいように思う。ジョージ本の失敗は,絵本しかなかったところにありそうだ。(日本語の本と英語の本を転がしておいたのだけど……日本語のほうだけ親に読ませて,英語のほうは「あ,同じ」と絵だけ眺めて終わりだった。)

ORTの本に関心が向いたのも,他のORTのリーダーをすでに読み聞かせていたりしたためだろう。(何しろ絵柄が同じだし,登場人物も共通している。)そして,娘の場合には特に,「音」が重要なポイントになる。CDで聴いたり,ビデオで観たことがあったりすると,とても反応がいいのだ。

場面を変え,マテリアル(本,CD,ビデオ……)を変えながら,手近なところに適切なマテリアルを転がしておくことで,子どもが自分から手を伸ばすように仕向けていくのが,英語子育てのポイントのひとつだと思われる。