リーディング教室でフォニックス講座

秋からの泉野イングリッシュをリーディング教室として位置づけ、「読めるようになる」ための基礎としてフォニックス講座を開いていくことを検討しています。

語学は慣れです。英語が“使えるようになる”ためには大量の英語に触れる必要があります。英語に触れる機会の少ない日本で暮らしているわたしたちが“英語的な感覚”を養う重要なひとつの手段は、英文を読める力をつけることで、英語のインプットを飛躍的に伸ばすことです。また現在の日本の(金沢市の)小学校英語教育の不足部分を補うという意味でも、子どもたちに「読み書きを教える」ことは非常に重要ではないかと考えています。*1

言語習得の基本目標は、リスニング、リーディング、スピーキング、ライティングの4つの技能を伸ばすことです。総合的な“英語力”を高めていくためには、これら4つの技能をバランス良く伸ばしていくことは必須です。

現在、日本の小学校ではオーラル・イングリッシュ中心の授業が行われています。(仮に小学校英語を導入するにしても、音声中心にして、読み書きは基本的に教えない……というのが国の基本的な方針のようです。)だけど、文字を教えずに音声だけの「言葉」を入れていっても、なかなか記憶には留まりませんし、理解が不確かになります。また、音声中心の英語とは言っても、現実に子どもたちに配られているのはCDではなく、英文字のいっぱい書いてあるテキストです。読めない文字だらけの教科書が配られる……なんてことは、他の教科では考えられません。日本語については小学校1年生から「読み書き」を指導されていくのに、こと英語については「文字を読めない教科書が手元に配られる」*2という、子どもたちにとってストレスフルな状況が作られています。さらに4年生から「ローマ字」を習うこともあって、子どもたちは中途半端で危うい状態に置かれています。

英語を音声でのみ聞かされ、読み書きを学ばず、ローマ字のみ教えられた結果、英語をローマ字表記で書く――たとえば「犬(ドッグ)」を「dogu」あるいは「doggu」と書く――子は決して珍しくないと聞いています。日本語をローマ字表記しさえすれば英語として通用する……という誤解もまかり通っているそうです。英語とローマ字は別物だと説明していったら、「だったら、なんでローマ字を習わなくちゃならないの?」と逆に生徒に質問され、答えに詰まったという話も聞きました。

わたしたちがローマ字を書くのは、英文文書のなかに日本語を――たとえば日本人名を――表記する時くらいです。ローマ字を読めることは基礎だとしても、ローマ字のみの本や新聞を大量に読むなんてことはありえません。もともとアルファベットは西洋の言語を表記するために発明された文字です。アルファベットに関して先にローマ字を教えることは再検討する必要があると思います。

ちなみに、英語の音だけではなく文字も入れなければならないとわたしは主張しているわけですが、かといって、絵本やフラッシュカードを使って早期にアルファベットやバラバラの単語を学ばせる必要があるとは思いません。そうではなく、日本語学習を通じて「書き言葉の世界」にすでに馴染みのある小学生に英語を教える場合には、オーラルのみに固執するのではなく、音を入れていくのと平行して読み書きも学ばせたほうが自然だし、子どもたちの意欲をそがないためにも望ましいのではないでしょうか。

わたしの教室では、上記のような考え方に基づいて、オーラルだけの“英会話”を教えるのではなく、読み方や書き方を小学生のうちから教えていこうと思います。そのためにも、ただし中学の前倒し教育ではなく楽しい形で――絵本を使って――フォニックスを教えていくことは大事ではないかと考えています。

*1:前にも書いたとおり,小学生で英語が嫌いになる子の8割が,「英語は読めない」ことを理由に挙げています。

*2:金沢市では小学校3年生から市が作成したテキストを使って週1回の授業が行われます。